厚労省 不妊治療と仕事の両立 アンケートを読み解く②

気がつけば4月も半ばを過ぎ、すっかりご無沙汰してしまいました。

 

盛岡は昨日、石割桜も満開となり、市民も観光にいらした皆様も、桜を満喫していました。会議の行きかえり、私もしっかり、堪能させてもらいました。

 

それはさておき。

 

不妊治療と仕事の両立について、アンケートを読み解く第2弾です。

 

前回、不妊治療をしていることを周囲にはいいにくい面があることについて触れました。

 

このことに関して、

 

「不妊治療を行っている従業員も対象となる、相談や面談の機会を設けている」

 

という企業の割合と、その内容についての問いがありました。  n=725

 

上司、人事部門との面談機会の提供   63 (8.7%)

 

産業医面談機会などの提供        34 (4.7%)

 

・相談窓口の設置                31 (4.3%)

 

・その他                      26 (3.6%)

 

・実施していない               621 (85.7%)

 

 不妊治療を行っている従業員も利用できる相談の場は、特定の相談場所を設けるよりも、上司や人事部門といった、個々のかかわりの中で設けられているものが多いことがわかります。

 

 やはり、日々の仕事の調整もありますし、直接話したほうが伝わりやすいところはありますから、まずは上司へ、ということになるのかもしれません。

 一方で、「相談窓口」はこちら、と設定しても、逆に相談内容が周囲に伝わることを気兼ねしてしまうところもあるかもしれませんので、利用しやすいかどうかという点がポイントではないかと感じました。

 

 産業医への面談機会の設置については、不妊治療のストレスもありますので、さまざまな相談ができるという点で、よい場ではないかと感じます。ただ、精神科の医師が産業医になっている企業もあれば、内科医が産業医を勤めている企業もあり、専門分野が生殖医療とは異なることから、相談者が何を話すかによっては、伝わりにくい面があるのではないかと懸念されます。

 

 ただ、医師に相談するメリットとしては、通院に関することであれば、医師として他の疾患での経験もあることから、勤務と通院とのかかわりは理解を得やすい可能性があり、この点でメリットが大きいのではないかと考えています。反面、生殖医療での通院ペースは他科の通院とは異なる点も多いため、場合によっては説明しても伝わりにくい可能性もあると思っています。

 

 今回、企業が不妊治療と仕事の両立支援の取り組みをどの程度しているか、という問いにより、何らかの形で支援を実施している企業が14%はあることがわかりました。

 では、それが有効に機能しているかどうかという点では、前回お伝えしたとおり、「他の人には言いたくない・言いにくい」という声もあり、双方の思いに差が出ているのが現状のようです。

 

 相談できるようにしましたよ、という企業と、相談したくない・相談しにくいという従業員。

 

 両者の間にある、この「差」を、埋める・つなげる必要があると考えます。

 

 リプロダクティブ・ヘルス・サポートでお手伝いできる余地が、ここにあると考えています。