ドラマへの反響記事から:会社で不妊治療の話は難しい

3月19日夕方配信の女性自身の記事にて。

 

”深キョン妊活ドラマ、ここが変!?不妊治療経験者のリアルな声”と題して、「隣の芝生は青く見える」というドラマの内容に不妊治療当事者が抱く違和感などが語られています。

 

治療に関しての理解度や、不妊治療を受けている夫婦の姿勢、周りの人々の反応など、当事者からするとどうしても気になってしまうのは、確かにその通りだと私も思います。

ただ、ドラマという性質上、わかりやすく説明する必要もあるのだろう、と考えています。

また、治療に関する理解度については、実際、事前にたくさん調べてから不妊治療専門施設を受診する人もいますが、まったく予備知識もないまま、よくわからないままに受診している人もいるのは事実です。

 

不妊治療に臨む方々も、多様です。

 

私が今回の記事で気になったのは、「会社で不妊治療のことを後輩にしゃべっている夫」に関する内容です。

 

”・・・松山ケンイチ(33)演じる夫・大器は時折、会社の後輩に夫婦の不妊治療について話している。だが同じ悩みを持つ友人や家族ならまだしも、若い後輩に他人に夫婦のデリケートなことを軽々しく話すのは妻にとって気持ちのいいものではないはず。”(女性自身、ウェブ上の記事から引用)

上記の文面を見て、もしかすると『夫である男性』が、『後輩』に話しているということがポイントなのではないか、と考えました。

 

『妻である女性』が、『不妊治療経験のある先輩女性社員』に相談するとか、親しくしている『同僚である女性社員』に話すとか、そういったシチュエーションのほうがまだ現実味もあり、また、違和感が少なかったかもしれない。夫婦のプライヴェートなことを勝手に話して、という不快感も少なかったかもしれない...とも思いました。

 

ドラマに出てくる夫・大器の当事者意識も関係しているとは思いますが。

 

こう考えると、企業の不妊治療サポートの難しさが見えてくる気がしました。サポートを受けるには、サポートをするには、「不妊治療をしています」ということをどこかで開示する必要がでてくることが考えられます。

誰にどこまで、どのぐらい伝えるのか、当事者にとっては本当に悩ましいことです。言わずに済ませたいという思いもあるからこそ、黙って退職という事態も多いのですし、言えない・言い出しにくい・言いたくないというのが、実際かと思われます。

 

がんなどの病気の治療との共通性もあるように思いますが、これについては別に考えてみたいと思います。

 

少なくとも、ここで言えるのは、社員の不妊治療サポートをする際には、こうした当事者の思いに気持ちを添わせていく視点も必要、ということだと考えます。支援します!ということを伝えるだけでなく、複雑な胸の内を大切に取り組んでいくことができれば、互いに理解を深めていくことができるのではないでしょうか。

 

リプロダクティブ・ヘルス・サポートでは、こうした視点も大切に、取り組んでいきたいと思っています。